身内が亡くなると葬儀中は慌ただしく過ぎてしまい、思ったよりも悲しみに浸る時間は少ない。
けれども葬儀の後始末などが済み、親戚達も一人また一人と帰って行った後、心にぽかんと穴が開いたようになる。
そして故人の物を一つ一つ手に取りながら遺品整理を始めると、じわじわと悲しみを実感する。
故人の思い出が残る品々、できれば全て身近に置いておきたいが現実にはそうはいかない事が多い。
手放さなければと頭ではわかっていても、いざ処分となると躊躇ってしまう。
そうして遅々として進まぬ遺品整理に頭を悩ませながらも、故人の遺した品々にずっと囲まれていたいと思ったり、このまま過去を見つめるだけではいけないと思い直したり、日々心を揺らしながら、ぼんやりと生活をする。
けれども本心ではわかっているのだ。
このままではいけないと、心に区切りをつけねばならぬと。
そう、遺品整理は単なる物の整理ではない。
故人との思い出、これから生活していく上での心の持ちよう、そうしたものの整理でもあるのだ。
遺品整理に寄せる思い
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